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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

臼杵市野津町大字野津市158-1 tel.0974-32-2804

富美屋商事株式会社
全日食チェーン店として、地域住民に愛されてきた『スーパーフミヤ』。加速する人口減、高齢化など、厳しい状況は続いている中、「高齢者に優しい、地域の台所」の役割を託された承継者は、自分なりのカラーを模索しながら新たな「台所」を作り上げていく。
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地域の皆様に信頼され、愛される店を守ってほしい

親・中島究さん

「地元に愛される店」を、自分なりに模索しています

子・中島信二さん

企業概要
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1975(昭和50)年に設立。1992(平成4)年、社長に就任した中島究さんが、全日食のチェーン店として地域の皆様に信任される「高齢者に優しい、地域の台所」となるスーパーマーケットに成長させた。

承継年表

2022年11月 > 野津町商工会による事業承継診断を通じて当センターに相談。
2022年12月 > 地区担当のエリアコーディーネーターが事前ヒアリングを行い、承継に向けての課題・問題点を抽出。
2023年2月~5月 > 当センターの専門家派遣により事業承継計画書の策定支援を実施(1年以内に承継完了予定)。
2023年5月 > 事業承継計画策定完了。

地域密着、顧客第一主義で、存在価値を高めてきた

 少子高齢化と人口減少、他店との競争など、スーパーマーケットを取り巻く環境は厳しい。個人経営は後継者問題もあり、廃業する店が年々増加しているのが現実だ。スーパーの撤退で困るのは地域住民。特に、地方へ行けば行くほど高齢者率は高く、日常生活に即支障が出るのは避けられない。
 そんな中、存在意義を守り続けているのが、創業約50年になる『スーパーフミヤ』。現社長・中島 究さん(82歳)が兄の設立した店を受け継ぎ、妻の和子さん(78歳)とともに現在の規模まで拡大した「地域の台所」だ。
 大阪で衣料関係の商社に勤務していた究さんは、兄に請われて帰郷。当時まだ店長が在籍していたため、まずは店舗2階で寝具店を開き、1992(平成4)年、代表取締役社長に就任した。
 「寝具を扱っていた時、4年ほど夫婦二人で旧野津町全域を行商しました。ほとんどの家庭に訪問したことが地域の人と深く密着するきっかけとなり、店の礎になったと自負しています」。
 他店との差別化を図るための売り出し企画や、地域の交流の場としてのスペース提供、行政へ働きかけて商工会との共同運営による町内配達システムを確立させるなど、顧客第一で様々な仕掛けに取り組み、文字通り、「地域密着店」として店を継続してきた究さん。社長就任のタイミングで店舗を拡張、当時はまだ珍しかった全日食チェーンに加盟して多種多様な商品構成にも力を入れてきた。

自分なりの正解を導き出し、新しい時代の店舗を創る

 域になくてはならない店だからこそ、後継者は必要不可欠。『スーパーフミヤ』には承継候補者がいたものの、ある時を境に状況は一変。地域密着、顧客第一主義で、存在価値を高めてきた自分なりの正解を導き出し、新しい時代の店舗を創る突如、後継者不在となった。
 そこで白羽の矢が立ったのが、中島家の次女と結婚して婿養子となっていた信二さん(51歳)。しかし、「自分はサービス業に向かないと思っていて、そもそも承継は100%ない、ずっとサラリーマンを続ける、と断言していました」。
 継ぐ決心をしたのは、「店がなくなると地域の人が困る」という思いと、40代後半に差し掛かり、「本当にやるなら、今しかない」と、気持ちを切り替えたから。2020(令和2)年、勤めていた会社を辞め、『富美屋商事』に入社。承継計画がスタートした。
 「どうすればお客様が喜んで買い物できるのか、その答えがなかなか見つからず、悩む日々は今も続いています」と語る信二さん。売り場に出て買い物客に声がけをしたり、購買意欲を高める陳列を心がけたりと、あらゆる方向から自分なりの答えを導き出すために模索中だ。高齢者を主な対象としたチラシ広告の制作も信二さんの担当。「欲張って商品を詰め込まず、文字を大きく見やすくする」ことを心がけながら自作している。若者世代への訴求力を高め、新たな顧客層を得るためにSNS告知も始めた。「人を大切にするという思いを受け継ぎ、地域の台所を守るのが自分の役割だと思っている」。
 仕事の効率化や経営の立て直し、パートを含む従業員の働き方の見直しなど、承継者である信二さんが担う課題は多いが、地方のスーパーマーケットとして新たな時代を築く決意で取り組んでいく。

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「金土市セール」や「95円セール」、季節ごとのイベントなど様々な売り出し企画を開催。通常の営業時でも、他店との値段競争にも負けない商品を提供し続けている。

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自動発注システムでの発注業務やチラシ作成、SNSなど、業務のデジタル化を担当する信二さん。効率化や従業員の働き方改革にもつながっている。

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全日食チェーン店として豊富な品揃えを誇る『スーパーフミヤ』。野菜や鮮魚、精肉コーナーは地場産を多数扱っている。

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多種多様な商品を丁寧に陳列し、POPやプライスカードを工夫するなど、高齢者にも優しく、購買意欲を高める工夫が随所に見られる店内。

支援ポイント:事業承継を地方のスーパーの変革のチャンスと捉える

少子高齢化が進む地方のスーパーは今後も持続的な経営を続けていくには従来通りでは厳しいが、事業承継が変革のチャンスだと考えています。事業計画の策定を行い、事業の選択と集中で無駄を省き、地元のスーパーならではの強みを発揮して、地域のコミュニティを支える経営を目指していただきたいです。

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