令和元年度補正予算 事業承継補助金の採択結果が発表されました。今回は、事業承継補助金の概要と採択結果の特徴についてご紹介します。

事業承継補助金とは?
事業承継補助金は、事業を引き継いだ中小企業・小規模事業者等が事業承継を機に、事業承継後の新しいチャレンジを応援する補助金制度です。 経営者交代による承継後に経営革新等の取り組みを行う「後継者承継支援型(Ⅰ型)」とM&Aなどの事業再編を契機に新しい取り組みを行う「事業再編・事業統合支援型(Ⅱ型)」があり、前者は最大300万円、後者は最大600万円(いずれも、補助率2/3以内で、上乗せ額を除く)の補助が受けられるようになるものです。 毎年、年度の始まりに公募が行われており、今年度(2020年)も4月10日から6月5日の期間で交付申請が受け付けられました。 詳細は、こちらのサイトをご覧下さい。
令和2年度(2020年)の審査結果(交付事業者の決定)は?
令和2年度は、2020年7月15日に審査結果が公表されましたが、Ⅰ型・Ⅱ型を合わせ、649件の応募に対して、468件が交付事業者として発表されています。今回は、72%と高い採択率でした。 内訳(採択数/応募数)は、以下のとおりです。
Ⅰ型:後継者承継支援型 350件/455件(採択率 77%)
Ⅱ型:事業再編・事業統合支援型 118件/194件(採択率 61%)
当初の予算案では、合計450件程度と予告されていたので、それを目安に判断されたようです。
大分県の事業者は?
交付決定事業者数(Ⅰ型・Ⅱ型の合算)を都道府県別ランキングにしてみました。

愛知県(44件)を筆頭に、東京都(34件)、福岡県(28件)、大阪府(27件)、静岡県(22件)と続きます。 大分県は、残念ながら今年はゼロでした。昨年は、私たちがお手伝いさせていただいた10件を含め17件(一次・二次合わせ、798件中)も採択されていたのですが、今年は力及ばず・・・さっそく反省会を行いました。
令和2年度(2020年)の傾向は?
公開されている情報の中の「経営革新等に係る取組の標題」から、採択された案件の傾向を見てみましょう。今回は、テキストマイニングの分析結果(株式会社ユーザーローカル, AIテキストマイニングを利用)からの考察です。
Ⅰ型:後継者承継支援型の標題分析

Ⅱ型:事業再編・事業統合支援型の標題分析

青色:名詞、赤色:動詞、緑色:形容詞、灰色:感動詞 Ⅰ型・Ⅱ型とも、販路開拓や拡大に加え、新たな事業への取組に関するキーワード(新規、開発、製造、転換、導入)が目立ちます。更にⅠ型では生産性向上、Ⅱ型では「次世代」など挑戦的なキーワードが見られます。募集要領では、地域への貢献もポイントとなっていますが、言葉上はそれほど目立っていません。 標題からの推測になりますが、しっかりとした準備のもと、事業の柱となるような新しい取り組みを目指しているところが採択されているように見えます。
「補助金ありき」の発想では難しい?
事業承継補助金も4年目になり、応募する側、審査する側とも、補助金ありきの取り組みではなく、真に必要な事業が選ばれるようになってきたことを意識するようになってきたと思われます。私たち支援する側も「補助金があるので新しいことにチャレンジしてみませんか?」から、「新しい取り組みに対して、補助金を使うことで更に上を目指しましょう」というスタンスへの転換が必要となってきました。 事業承継補助金は対象となる費目も幅広いため、事業承継を機に新しい取り組みを行う場合に使い勝手の良い補助金のひとつだと思います。来年度も、事業承継補助金があるかどうかわかりませんが、早いうちから準備を始めておくことをお勧めします。 事業承継ネットワーク事務局では、事業承継補助金の申請についても、商工会や商工会議所などの支援機関とともに、引き続きお手伝いさせていただきますので、ご遠慮なくご相談ください。