大分県では、事業承継の実態把握から適切な専門家への引継ぎを行う「事業承継推進員」が、県内4つの商工会議所に設置されています。今回は、その役割とオンラインで行った連絡会議の紹介です。

事業承継診断と事業承継推進員の役割
大分県では60歳以上の中小企業経営者・小規模事業者を対象に、支援機関職員の訪問による事業承継診断を実施しています。平成29年(2017年)から3か年で15,000件を目標に取り組んで参りましたが、事業所数に対して支援機関職員数が少ない地域では期間内の目標達成は困難です。そこで、このような地域に承継診断専任の「事業承継推進員」が配置されました。県内の全事業所約30,000件のうち半数が60歳以上と想定されますが、昨年度までの累計診断数は14,693件、対象企業のほとんどの声を把握できたと考えられます。
次のフェーズで事業承継推進員に期待される役割は「準備や支援の必要性を感じていただくきっかけ作り」です。経営者の高齢化が進み、残された時間が少なくなる中、診断から一歩踏み込んで、当事者である経営者や後継者に事業承継の準備を始めようと感じていただくこと、具体的な承継後のイメージを持っていただくことが求められます。
事業承継推進員会議は、初のオンライン会議にて実施
今年7月には「事業承継推進員会議」が、県内5拠点を繋いだオンライン会議形式で開催され、事業承継推進員と推進員が配置される商工会議所の経営相談所長らとの意見交換を行いました。オンライン会議アプリによる対応は初の試みでしたが、当センター、県庁からも多数参加し、概ね良好な状況での情報交換ができました。事業承継推進員は対象事業所の訪問が業務の中心です。コロナ禍の訪問に不安を感じる新任の推進員に対して、ベテラン推進員から仕事の流れや日々留意している点なども伝えられ、「不在がちな経営者に会うために、外回りを避けるような雨の日を選んで訪問する」「信頼関係を構築するまではあえて診断をしない」等、日々の工夫を知り、心強く感じました。
当センターでは、地域の支援機関と連携し、現場がキャッチした貴重な事業所情報を素早く受け止め、ひとつでも多くの事業承継支援に携わっていきたいと意気込んでおります。本年度は、中津・別府・日田・佐伯の4商工会議所に事業承継推進員が配置されています。お近くの方は、お気軽にご相談下さい。