支援している事業所の代表者が認知症のケースがあります。認知症になると法律行為ができなくなります。デリケートな問題ですが本人の早めの対応が必要ではないでしょうか!

認知症により判断能力を失って意志能力がないと判断されると、モノの売り買いや契約をするといった法律行為ができなくなってしまいます。
90歳になるAさんのケース。配偶者も子供もなく、以前から姪が面倒を見ていたそうですが、本人の希望もあって預貯金を姪に遺贈するための公正証書遺言書を作成することを数年前から計画していました。
まだ元気だったのでもう少し先でと思っていたところ急に体調を悪くしたため、ようやく思い立って公証人役場に遺言書作成について相談しました。
遺言書を作成するにあたり、医師の診断書が必要となったため、かかり付けの医師にお願いしたところ認知症がかなり進んでいることが判明。(認知症の検査の一つである長谷川式簡易評価スケールで30点満点中7点しか取れなかった。20点以上が正常、19点以下は認知症と判断されるそうです。)
そのため公正証書遺言書を作ることはできなくなり、預貯金を動かすためには成年後見制度を利用せざるを得なくなってしまいました。
Aさんのケースのように、事業の代表者が認知症と判断されると、個人事業の廃業の手続きや法人の場合の代表者変更手続き、株式の移動のための贈与契約などができなくなります。結果として事業承継が困難になってしまいます。
公正証書遺言書の作成や、任意後見制度の活用、家族信託制度の活用など、本人の意思をしっかり反映したものにするためには、本人が正常な判断のできる段階で行っておかなければなりません。
2025年には認知症の患者は700万人に達し、65歳以上の高齢者の20%(5人に1人)が認知症になっていると推測されています。認知症の症状が出てからではどうしようもないのです。
「しまった、遅かった」とあとで後悔しないように、是非、大分県事業引継ぎ支援センターへご相談頂き、早めの対策を考えましょう。