ブロックCO今年度の振り返りの連載の第2弾は、県北の親族内承継支援、各種セミナー・研修等の企画を担当している岩崎ブロックコーディネーターによる三大トピックスです。

トピックス① 事業承継補助金、申請断念相次ぐ
新型コロナウィルス感染が拡大する中でスタートした新年度。4月中旬には「緊急事態宣言」が全国に拡大し、大分県内でも多くの中小企業が影響を受けました。
令和元年度補正の「事業承継補助金」が募集を開始したのは、ちょうどそのさなか。後継者の挑戦を後押しするこの補助金も回を重ね、県内事業者に浸透し、その趣旨を十分に理解した上で申請を準備する先も増えていました。しかし、締切は6月5日。先行きが全く見えない状況下で、将来を見据えた多額な投資には踏み切りにくく、多くの事業者が応募を断念しました。
我々が主に支援する「後継者承継支援型【Ⅰ型】」は、全国の申請総数は455件、350件が交付決定となりました。採択率は76.9%、大分県の採択者は0件でした。前年度の同補助金は1次・2次合計で1,039件の申請に対して658件の交付決定、採択率は63.3%の中、大分県は17件が採択されていました。昨年度と比較しても、戦略の変更を迫られ躊躇する後継者が多かったのではないかと推測します。
感染拡大の終息はいまだ見えない状況が続いていますが、大きな変化に直面している、ということはわかっています。急激な環境変化に対して、後継者の方が思い切った行動をとれることもあるでしょう。見方を変えれば、コロナ禍は事業承継の絶好のチャンスです。来年度は、ぜひ多くの挑戦を後押ししていきたいものです。
トピックス② 事業承継アンケート、県内4,000社対象に実施
全国本部から提供された資料「コロナ禍での各県の取り組み」に、アンケート調査を実施している県がありました。早速、その目的と状況を問い合わせると、コロナの影響による悩みが多く集まり、フォローアップに日々忙しくしているとのこと。これは大分県でも取り組むべきと考え、コロナの影響が事業承継に支障をきたしている県内企業の実態調査、及び影響を受けた企業への支援を目的に調査を郵送にて実施しました。
約2割の事業者から回答が寄せられ、支援を求める方にはお電話や訪問にてお話を伺いました。事業承継はセンシティブな話題であるがゆえに、我々がこれまで窓口としてきた商工会・商工会議所、金融機関では、「関係が近すぎて話題にしにくい」という方もおり、直接我々が窓口として受け付けていくことの必要性を感じさせられました。
回答受付期間は9月、10月からは大相談会、事業承継計画ワークショップと、相談のステップも整っていたため、今までは接点のなかった事業者の方々も、我々の支援を活用しやすかったようです。
トピックス③ 専門家派遣の二大テーマ
今年度は多くの専門家派遣に対応できるようにと、様々なネットワークを駆使して専門家をご紹介頂き、県内外の登録者を拡充。新しい先生方との出会いも楽しみにしておりましたが、対面を原則とする専門家派遣はコロナ禍で縮小を余儀なくされ、前半は件数が伸びませんでした。
その後、感染対策も定着し、通常に近い形で派遣を再開。第三波が警戒される現在では、リモート形式なども取り入れて柔軟に対応しています。
派遣の主なテーマは、税務と承継計画策定です。相続・贈与を活用して経営と財産を一体で承継できることは親族内承継の大きなメリットですが、その税法は複雑で、専門家の力を借りなければ最適な提案は望めません。節税のつもりで経営者が独学で取り組んだものが、全く逆の結果になっている、という例も少なくありません。また、税務対策だけでなく、事業の将来性や今後の展開を含めた綿密な計画策定は、その過程で経営者から後継者に伝えるべきことを伝え、事業承継を円滑に進めていくための大きな一歩になります。
当センターでは、これまでに県内の二百数十件の事業承継計画書策定に携わってきました。事業承継の準備を始めたい、承継後も事業を成長させるための経営計画を考えたい、という方々は、お気軽にお声がけください。