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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

豊後大野市三重町内田1372 tel.0974-22-6247

有限会社アトリエ藍
関西の老舗メーカーをはじめ、取引先から高い評価を得ている縫製の技術力。女性が働くことが珍しかった時代から現在まで、一代で築き上げてきた創業者の思いは、親子以上に年の離れた若者に託された。手仕事のモノづくりに対するこだわりは、世代を超えて紡がれていく。
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情熱と熱意を信じ、事業の継続を託しました

被承継者・佐藤マサ子さん

ずれはモノづくりが好きな若者の受け皿になりたい

承継者・代表取締役/岩切拓都さん

企業概要
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婦人服の国内生産を受注する事業として創業、メイド・イン・ジャパンにこだわる高級婦人服の縫製業。約10年前から外国人研修生雇用等、人材を確保して多品種小ロット生産への対応に注力。現在、業績は回復傾向。

承継年表

2017年4月 > センター登録。その後、進展なし。
2021年11月 > 事業承継相談会(豊後大野市)に来訪。同年12月以降、NNDB情報に掲載し、マッチング先を探した。
2022年1月~3月 > 後継者人材バンクに登録していた岩切拓都さんから問い合わせあり、紹介。
2022年5月以降 > 縫製事業の体験後、両者間で意見交換を実施。譲渡条件の整備を行い、株式譲渡契約書(案)を作成した。
2022年8月 > 事業承継完了。

若者の熱意と勢いに、事業継続と発展を託した

 豊後大野市三重町で高級婦人服の縫製作業を行う『アトリエ藍』。1978(昭和53)年、創業者の佐藤マサ子さん(76歳)が従業員6名とミシン5台でスタートし、一代で築き上げた事業を引き継いだのは、親子以上に年の離れた岩切拓都さん(30歳)だ。
 「自分で事業をしてみたいという思いは常々もっていました。そのためにはどう動けばいいのかと模索していた時に、ゼロから事業を始めるのではなく、引き継ぐという方法があることを知りました」と語る岩切さんが、後継者人材バンクに登録したのは26歳の時。前職同様に機械関連の仕事を想定して探していたが、NNDB情報ンネームデータ情報(会社が特定できない情報)に掲載されていた同社を目にし、興味をもったのだそう。
 「経験や職種に縛られないとしたら、どんなことがしたいのか。そういう観点で考えてみると、学生の頃から手仕事で何かを作りたいと思っていたことや、縫製業という業種にも興味を惹かれ、話を聞かせてほしいと思いました」。
 佐藤さんが事業の譲渡を決意したのは、自身が築いてきた取引先との信頼関係と、どんな要望にも応える縫製の技術を残したいという思いから。「目的は会社の継続と発展。やりたいという本気の熱意を見せてくれたら私は受け入れる、という気持ちで臨みました」。
 岩切さんと面談し、「若さだけでなく、勢いも感じた」佐藤さん。新しい事業への挑戦に意欲を燃やす彼の姿勢に、『アトリエ藍』の将来を託すことを決意した。

最年少の社長が描き始めたモノづくりの将来像

 当初は2年計画での承継を考えていた岩切さんだったが、予定が早まり2022(令和4)年8月末に譲渡完了。時間的にはさほど慌てずに過ごせたそうだが、業種も経営者という立場も初めてのことで、実際に大変さを痛感するのは承継後だったという。
 「社長とはいえ最年少の新人。立ち位置に迷い、何をするにももどかしさを感じていました」。
 約半年は悩みの多い日々だったたが、売り上げを伸ばすという目で見える成果を上げ、取引先の対応や、従業員への作業割り振りなども自分なりの方法で行えるようになってきた。時間の経過とともに縫製の技術力も上がり、一人のオペレーターとして『アトリエ藍』の「モノづくり」に携わっているという自信ももてるようになった。
 「覚えようとする時、水面下に潜っている間は長く感じるけど、何かのきっかけで顔を出し始めたら一気にマスターできるもの。今の彼を見ていると、そういう状態に近づいている気がします」と、会長として成長を見守る佐藤さんは、嬉しそうに語る。
 直近の目標は、「会社の基礎を固め、企業体力をつける」こと。業界全体が人手不足で、メーカーも受注先がいなくて困っているのが現状。高い要望に応える確かな技術力と生産力を確保し、5年後、10年後も継続の見通しを立てるため、従業員を増やすことと平均年齢の引き下げ、技術の承継は急務だ。
 「同じ方向を目指す仲間がいれば、可能性はどこまでも広がるはず。いずれは同年代のモノづくりや洋服づくりが好きな人たちの受け皿になり、ともに発展できる会社を作っていきたいと思います。

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高い技術力で取引先からの信頼も厚い『アトリエ藍』の製品。裁断から仕上げまで、分業制で手掛けている。

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今では珍しい年代物の裁断機。佐藤さんの実弟で現・専務の徳三さんも事業のサポートを継続中だ。

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縫製の高い技術力が信頼の証。細やかで複雑なデザインの製品を、熟練の手仕事で次々と仕上げていく。

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出会ってからの期間はまだ短く、年齢も離れている2人だが、「モノづくりが好き」という思いは同じだ。

支援ポイント:金融機関など利害関係者間の調整、承継スキーム構築等を支援

2021年11月、商工会経営指導員に導かれて前代表者が事業承継相談会に参加。NNDB情報に掲載後、後継者人材バンクに登録していた2名から応募があり、代表者との面談調整や職場への就業体験を実施後、後継者を決定。譲渡条件の整備、具体的な事業承継スキームの組立、顧問税理士への事前説明、金融機関への根回し等の支援を行なりました。

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