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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

佐伯市弥生大字井崎1256-1 tel.0972-46-2998

有限会社 ケーキ大使館 クアンカ・ドーネ
「無意識に、お手本にしてきたような気がします」。菓子職人の父と、店を支えてきた母の姿を幼い頃から見て育った息子は、両親について問うと、そう答えた。洋菓子製造販売『クアンカ・ドーネ』は地元で愛されて30年。承継を機に、若い世代のファンも確実に増えてきた。
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自分が30歳の頃と比べて、しっかりしていると感心します

親・柴田正信さん

こだわりの素材を用いて、新たな発想の商品展開へ

子・代表取締役/柴田一穂さん

企業概要
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1994(平成6)年創業。地域の素材を可能な限り利用し、ケーキ、生菓子、焼菓子、引菓子などを取り扱っている。店名は佐伯弁。「クアンカ」は「食べてみませんか?」、「ドーネ」は「どうぞ」を意味している。

承継年表

2021年7月 > 佐伯市番匠商工会の経営指導員による事業承継診断。
2021年7月 > 佐伯市番匠商工会より事業承継支援依頼。地区担当のエリアコーディネーターが事前ヒアリングを行い、承継に向けての課題・問題点を抽出。
2021年9~11月 > 専門家派遣により、事業承継計画の策定支援を実施。
2022年2月 > 後継者の柴田一穂さんが代表取締役に就任。
2022年~ > 事業承継計画に従って、柴田正信さんから柴田一穂さんへ徐々に株式移転。

特産品と自家栽培の素材で独自性を打ち出してきた

 佐伯市弥生の国道10号沿い、市民や観光客が往来する好立地に『ケーキ大使館クアンカ・ドーネ』が店を構えたのは1994(平成6)年。先代の柴田正信さん(59歳)が、妻の愛由美さん(58歳)とともに創業した洋菓子店は、ロングセラーのシュークリームをはじめ、季節のケーキや特産品を使ったオリジナル菓子などが多くのファンに愛されてきた。
 商売が軌道に乗ってきた頃から、同市本匠にある実家の農家の手伝いにも行くようになった正信さん。「新茶や新米ができると、それまで普通に食べて飲んでいたお茶やお米には手をつけない、という姿を目の当たりにしたんです。昔の農家だから自分で売り先ももっていないし、余ったものは捨てるでもなく、倉庫の隅に追いやったまま。もったいないな、と思い、自分がお菓子に変えようと試行錯誤してオリジナル商品を増やしてきました」。
 その言葉を裏付けるように、『クアンカ・ドーネ』のショーケースや棚には、特産品でもある自家栽培の因尾茶や野菜、果物、米粉などを使ったお菓子や、「特産品の生姜で新たな菓子を」と依頼されて開発した商品など、できる限り地元産・自家栽培の素材を用いた、この店ならではのラインナップが独自性を光らせている。
 そんな両親のもとで育ってきた長男の一穂さん(34歳)は、「親のため、という気持ちではなかった」が、いつしか父と同じケーキ職人の道を志すようになっていた。

地域との関わりを再認識し、今以上に愛される店を目指す

 幼少期から友達に「実家がケーキ屋で羨ましいね」と言われ、「いい職業だな」という感情が芽生えていた一穂さん。一日でも早く職人になることを決意して北九州市と広特産品と自家栽培の素材で独自性を打ち出してきた地域との関わりを再認識し、今以上に愛される店を目指す島市で修行を重ね、2020(令和2)年、妻の優さん(34歳)と2人の息子とともに帰郷した。
 「親父が創業したのは30歳。自分も30歳を目処に、という思いがありました。ケーキ職人になって帰ってくるということは、継ぐという話でもあるので、その時期が早くても遅くても、タイミング次第だな、という気はしていました」。
 一穂さんの帰郷を機に佐伯市番匠商工会の担当者に相談した正信さんは、「事業承継は、代表の名前を変えるだけで済むものだと思っていたが、いろいろな仕組みや計画の立て方などを専門的に教えてもらえて助かった」と振り返る。
 当初は5年計画で事業承継を行う予定だったが、時期を早めて2022(令和4)年2月、一穂さんが代表取締役に就任。現在は、一穂さんが主に製造を担当し、正信さんは製造のサポートと商品に用いる果樹など農作物の栽培を手がけている。愛由美さんと優さんは接客担当。新商品や季節商品のPR、日常のエピソードなど、優さんが定期的に情報発信するSNSと店主の世代交代の効果もあり、若い年代のファンも増えてきた。
 「いずれは地域の祭りやイベントにも出店し、より深く地域の人々との関わりをもちたいという思いも、日々強くなってきました」と語る一穂さん。修業先で磨いてきた技術と経営の知識をより深めながら、「今以上に、若い人にも支持される商品を作っていきたいし、自分が思う店の形に進化させたい」と、意欲を燃やす。

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親子ともに独自性を追求。正信さんが開発した因尾茶のまんじゅう(右奥)と、一穂さんが手がけた新商品「ティグレ」。ティグレは、フィナンシェにチョコチップを入れ、虎のしっぽ模様に見立てた焼き菓子です。

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SNSや口コミで若い年齢層のファンが急増中。定番商品に加え、イチジクや桃、スイカ、マンゴーなど、季節の果物を用いた“幸福感満載” のスイーツが好評だ。

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「誕生日やプレゼントなど日常の幸せな場面に、少しでもお手伝いできるのがこの仕事の魅力」と語る一穂さん。

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接客とSNSでの情報発信を担当している妻の優さん。店頭には常時約20種類の生菓子と約30種類の焼き菓子が並ぶ。

支援ポイント:先代と息子夫婦が力を合わせ、事業継続の体制づくりを実施

現在、息子夫婦が中心となって季節ごとの商品開発やインスタグラムなどSNSでのPRを重ね、客層の若返り、活気のある店舗づくりに成功。原価率を意識した経営を心掛けるようになり、小さなお店でも利益が出るように工夫をされています。早期に事業承継することで先代と現経営者が力を合わせて事業を継続する体制が出来上がっており、今後の成長に期待しています。

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