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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

大分市日吉町16-6 tel.097-558-8032

株式会社さかもと
1949(昭和24)年、「青写真」専門店として初代が創業して以来、高い複写技術で業績を伸ばしてきた『さかもと』。二代目の父から娘への事業承継は2023年9月に完了したばかり。社員と共に新たなビジョンを描きながら、三代目は"継続する"事業に挑戦していく。
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事業承継は、社員を守るためにも重要な仕事です

父・代表取締役会長/坂本憲治さん

皆で同じ将来を描き、
共に成長できる会社にしたい

子・代表取締役社長/小川幸絵さん

企業概要
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1949(昭和24)年創業。コピー、プリント、スキャニング、データ作成まで、時代とともに機械や材料を変化させながら培ってきた技術で、様々な顧客ニーズに対応。地元顧客を中心に、機動力と品質に定評がある。

承継年表

2017年11月 > 後継者(小川幸絵さん)入社。
2021年4月 > よろず支援拠点から当センターを紹介される。
2021年6月 > 大分県事業承継・引継ぎ支援センターに来訪。
2021年6~9月 > 登録専門家を派遣し事業承継計画を策定。
2023年9月 > 坂本憲治さんは代表取締役会長、小川幸絵さんは代表取締役社長に就任。

顧客ニーズに合わせて業務内容を進化させた

 「ゼロを形にするのが初代であれば、二代目以降はその事業を受け継ぎ、継続していくのが役割。それが一つの大きな仕事だと認識しています」。創業から70年を超える老舗メーカー『さかもと』の二代目であり、現・代表取締役会長の坂本憲治さんは、そう語る。
 戦後、憲治さんの父は縁あって大分の地で前身となる青写真(複写技術の一種)専門店『坂本青写真社』を創業。父の仕事を幼少期から手伝っていた憲治さんは、大学卒業後に入社した。「サラリーマンになるつもりで大学に進学したが、日本は高度経済成長の真っ只中で、大分市も新産業都市の指定を受けて湾岸に工場が立ち並びました。商売は右肩上がり。皆が前を向いて突き進んだ時代でした」。
 入社後は、「お客様の仕事のお手伝いをする」を信条に、顧客ニーズに合わせてトレースや写植、ワープロ入力、CAD、スキャニング等、あらゆる注文にスピード感をもって対応。新しい技術や製品がリリースされれば素早く取り入れるなど、商品やサービス内容の充実にも注力していった。1976(昭和51)年、現在の株式会社設立。憲治さんは43歳の時に社長に就任した。
 ものづくり補助金で国内初のインクジェットプリンター2台を導入したのは今から約8年前。出力スピードの高速化で作業効率は格段に上がり、短期間で大量出力を実現し顧客ニーズを上げている。
 娘の小川幸絵さんが同社に入社したのは、2017(平成29)年。県外で就職、結婚したのち、帰郷した。「最初、後継者になるかは決めかねていました。仕事をしながら、自分の役割や続けるべきかなどを考えながら決めていこうかな、という感じでしたね」。

チームとしての会社になるために理念の作成共有を月1回の勉強会で醸成

 「よろず支援拠点」のコーディネーターから事業承継について打診があり、センターを紹介されたことで改めて将来について考えるようになっていった幸絵さん。「何から手をつければいいのか、どんなステップがあるのかなどわからないことばかり。父がまだ元気なうちに、なるべくスムーズに引き継げる方法を知っておかないといけないな、と思いました」。
 憲治さんも「三代目に少しでも良い状態で事業を渡すことは、社員を守るためにも必要。自分が動けるうちにやるべき仕事」と決断し、事業承継計画を実行に移した。
 従来の取引先は企業及び官公庁が主体だったが、新たな取り組みとして一般の個人客にターゲットを絞った商品を展開。釣った魚を木の板に転写するウッディ魚拓や、絵画・書等の布転写、イカ釣り用浮きスッテ等、他社との差別化を図るユニークな商品を開発・販売し、顧客層の拡大に取り組んでいる。
 承継を目前に控えた2023(令和5)年4月から、会社のチーム力を上げる事と自身の成長を目的として幸絵さんは月1回の勉強会を始めた。第一段の着地点は「企業理念を作る」。皆で出し合った考えや思いを理念に取り入れることで、当事者意識をもち、方向性を共有することが目的だ。
 「一人では成し得なくても皆でやれば可能性は広がる。チームとしての会社や皆から意見が出る社風を作り、一緒に新しいものに取り組んでいけたらと思っています」。

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転写の技術を使ったBtoCの商品展開は、会社にとって新たな挑戦。絵画や書、ロゴマーク等をあらゆる素材に転写する商品は、贈答品としても将来性がある。イカ釣りの餌木は憲治さんの趣味が高じて商品化。

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スピーディーかつ丁寧な仕事に定評。顧客のあらゆるニーズにも応える柔軟な姿勢は「顧客のために」という思いが根底にある。

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入社当初、職場の雰囲気は「風通しがよく、働きやすい印象を受けた」と語る幸絵さん。現在、社員は12名。長年培ってきた技術と信頼を、若い世代が引き継いでいく。

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ものづくり補助金で国内初となる大型インクジェットプリンター1号・2号を導入。従来は1枚に4~5分かかっていたが、こちらは1分間に14枚と超高速で出力できる。

支援のポイント:事業承継計画を策定する過程で「やるべきこと」が明らかに

後継者の小川幸絵さんがセンターに相談に来訪されたのが、入社から4 年も経っていない頃でした。事業内容を理解し、県の後継者塾などで経営についても学び始めたところに、事業承継の準備も進めていくには、具体的な道筋を明らかにしていく必要がありました。センターから中小企業診断士を派遣し、2年後を目標とした事業承継計画を策定。計画策定過程で出てきた取り組みを着実に進められ、今回の事業承継の実現につながっていたことが印象的でした。

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