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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

豊後大野市清川町伏野562 tel.0974-35-2611

株式会社なかの家
長い間、多くのファンに愛されている酒まんじゅうや炭酸まんじゅう。地域や家庭で受け継がれてきた昔ながらの味は、今、ゆるやかながらも子育て世代に見直されつつある。自分たちの〝当たり前〞を子どもたちに伝えるために、若くパワフルなママの挑戦が始まった。
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私たちが受け継いできたものを、
若い人たちに伝えてほしい。

代表取締役/和田 鈴香さん

当たり前が難しい時代だからこそ、
守り、伝えることが必要だと思う。

取締役/和田梢さん

企業概要
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1994年に共同出資による組合として「なかの加工所」をスタート。令和元年から和田鈴香氏が個人事業として事業を引き継いだ。昔懐かしい酒まんじゅう等を製造し、豊後大野市内道の駅等で販売、人気を博している。

承継年表

2021年センター登録、2026年事業承継予定
▼2021年12月 大分県信用組合緒方支店より事業承継支援の依頼。
▼2022年1月 地区担当のエリアコーディネーターが事前ヒアリングを行い、承継に向けての課題・問題点を抽出。
▼2022年4月~6月 専門家派遣により、事業承継計画書の策定支援を実施。
▼2022年7月 「株式会社なかの家」に組織変更。現代表の和田鈴香氏が代表取締役、後継者の和田梢氏が取締役に就任。2026年に承継予定。

地域を守り、伝えるのが、自分の役割だと決意

 共同出資による組合として1994年にスタートした加工所を、現代表の和田鈴香さん(70歳)が2019年から個人事業主となり再出発した『なかの家』。継ぎ足しで守り続ける種麹を混ぜた酒まんじゅうや炭酸まんじゅう、しえ餅(白餅)など、素朴で懐かしい、手作りの”田舎の味”は、道の駅などの店頭に並ぶ時間を見計らって買いに訪れるほどの根強いファンも多い。
 しかし、早朝2時頃から製造する加工所のメンバー全員70歳以上。年齢的な不安要素や体力的な負担は年々大きくなり、「早く若い人に譲りたいね」と皆が思いつつも、具体的な後継者選びの話はなかなか進まなかった。
 「加工所の経理や商品発送の準備など事務を長くしてくれているから内情もわかっているし、明るくて活発な性格だから適任だと思いました」。後継者となるのは、鈴香さんの長男と結婚して、4人の子どもたちを育てながら地区の農事組合法人の代表も務める梢さん(40歳)だ。
 「まさか自分が農業に携わって、加工所の事業も受け継ぐなんて、お嫁に来た時は想像もしていなかった」と振り返る梢さん。「でも、義父が急逝して作り上げてきたものが無くなっていく様子を見ているうちに、私がやらなければと決意したんです。農業を守りながら田舎の伝統を受け継ぐためにも、この選択は間違いじゃないって思います」。2026年予定の代表交代に向けて法人化し、現在、承継後の事業のあり方を梢さん目線で構築する準備段階に移行した。

域の”宝”のために、独自の働き方を作る

 高齢化や後継者不在等で閉鎖する加工グループが増えているのが現状だが、梢さんは「その人しかできない仕事が多すぎることも原因」と考察。”その人”がいなくなれば業務が止まり、作る人が変わり、味が変わる。それが、ファン離れや最終的には閉鎖という結末につながるというのも残念ながらある、ということだ。そこで、年ほど時間をかけて製造工程マニュアルを作成しようと決めた。
「人が変わっても同じ商品を作ることができるよう、長年の経験や勘の部分のデータも収集してレシピ化していきます」。
 次に重要視しているのは、業務環境の整備。現在の作業開始は早朝2時頃からだが、改善策を検討中だ。「今までは若い人にこだわっていたけど、作り手の平均年齢は70歳で、経営する側に若い人材を雇用する方が現実的だと最近は思うようになって。早朝はお年寄り、昼からは子育て世代のママたちというように、二部体制が取れたなら、この地域ならではの雇用スタイルになるはずです」。
 高齢化や少子化が進む中、子どもは”宝”であり、地域の皆で大切に育てるものだという精神が宿る集落に、昔から受け継がれてきた味わい、文化。「当たり前がむしろ難しい時代だけど、地域の子どもたちに伝えることが私たちの責任だと思うんです。それを守り続けられる環境を作り、未来につなげたいと思っています」。

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道の駅等で人気が高い『なかの家』の商品。新たに“ママ世代”に向けた「こびる( おやつ)」シリーズも誕生した。

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地域の味を守り続けてきた鈴香さん。承継に向けて鈴香さんの技術と経験、勘をレシピ化する計画が進行中だ。

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4人の息子の母親であり、法人代表と事業承継者の顔をもつ梢さん。多忙な日々を持ち前の明るさと責任感で突き進む。

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生産者、加工者の顔が見える”当たり前” が長年のファンを魅了。

事業承継スケジュールと法人成りの手順やメリットを検討

現代表の和田鈴香氏は2022年で70歳を迎えた。従業員も全員が70歳を超えていることから、長男の嫁である和田梢氏を後継者として事業を承継し、若返りを図りたい計画。承継に向けた手順や承継の時期、また、承継を機に法人に移行し、福利厚生面の充実やシフト制の導入によって雇用環境の改善向上を目指したいと、大分県信用組合緒方支店を通して当センターに支援要請があった。

4年後の代表交代に向け、社内整備と商品開発に取り組む

事業の引継ぎや法人成りについて、どのように進めていけばよいか分からないまま時間が過ぎていた。当センターの専門家派遣による税理士のアドバイスによって、法人成りの手順や承継の時期、今後取り組むべき課題や問題点が明らかになった。法人成りについては、合同会社を考えていたが、将来性を考慮して2022年7月に株式会社へ移行。4年後の2026年の代表者交代に向け、組織体制の整備と新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいく計画。

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