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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

速見郡日出町大字川崎字辻の下3125 tel.0977-72-0118

株式会社グリーンエルム
"4,000万本の木を植えた"植物生態学者・宮脇 昭氏に感銘を受けて脱サラし、育苗会社を設立した父。その姿を見ながら育った二人の息子は、お互いの長所を生かしながら〝森づくり〞の未来を共に描き始めた。自然を守り、育てる志は、いずれ全国に広がっていく。
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恩師の教えを守り、未来の森づくりを実践してほしい

父・代表取締役会長/西野浩行さん

事業承継はチーム戦。家族と共に将来の事業を育んでいく

子・代表取締役社長/西野文貴さん

企業概要
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1989年、前代表 西野浩行さんが速見郡日出町にて創業。樹木用の苗木の生産・卸売業を主に、植生復元プランニング、コンテナ植物の生産・販売等を手掛けている。2023年度、新プロジェクト「里山ZERO BASE」をスタートした。

承継年表

2022年5月 > 代表者が65歳となることを機に事業承継の検討に着手。
2022年6月~8月 > 他の支援機関による事業承継計画の策定。
2022年8月 > 事業承継の具体化、事業の磨き上げに向けセンターに相談。
2022年12月 > センターによる個別支援の実施。
2023年3月 > 第3回「アトツギ甲子園」にて最優秀賞 ( 中小企業庁長官賞) 受賞。
2023年10月 > 代表者交代による事業承継の完了。

「自慢できる仕事」にかける父の背中を見て育った

 「行動する植物学者」と呼ばれた宮脇 昭氏(元横浜国立大学名誉教授・故人)と仕事を通じて出会った前代表の西野浩行さん(67歳)。氏が提唱する森づくりに感銘を受け、1989(平成元)年9月、脱サラして32歳で育苗会社『グリーンエルム』を設立した。
 「森づくりに使うポット苗は、いかにいい根っこの苗を作るか、それが最大限のこだわりでした」。
 突然、仕事を辞めて会社を立ち上げた父。当時はまだ幼かった二人の息子の目に、父の姿はどう映っていただろうか。
 「犬の散歩で公園に行くと、これがお前達のご飯の種だ、と言って落ちているどんぐりを拾わされるから、普通のサラリーマンではないことはわかっていたんです。夏や冬の休みの家族旅行では行く先々で大人も子どもも木を植えていたり。植樹祭の出張と家族サービスを兼ねていたんですね」と語るのは、長男の友貴さん(37歳)。
 一方、弟の文貴さん(36歳)は「おぼろげながら、父の仕事は環境にいいことをやっている、自慢できる仕事なんだろうな、というイメージはもっていました。植物がすごく好きというわけではなかったけど、自分のバックグラウンドとして植物や自然に対するバリアがそもそもなかったし、やっぱり父の仕事を魅力的に感じていたんだと思います」と語る。
 父の事業を継ぐことを念頭に、より質の高い森づくりのエキスパートを目指して東京農業大学で林学博士号を取得した文貴さん。父の人生を変えた宮脇教授の最後の弟子として研鑽を積み、2014(平成26)年、『グリーンエルム』に入社。一度は別の仕事に就いた友貴さんも、時間差で合流した。

お互いの個性を生かし、未来のために動く

 承継に向けて具体的に進め始めた頃、センターの担当者から「アトツギ甲子園」の存在を聞いた友貴さんは、「里山ZERO BASE」という新プロジェクトを計画中だった文貴さんに打診。大手企業のCSR事業を活用して全国で放置されたスギやヒノキの林を買い取り(または委託)、環境に適して災害にも強い森をつくるという、具体性と将来性が評価され、文貴さんは見事、最優秀賞を獲得した。
 「大会後、兄弟でやれるのは最高だねって多くの人に言ってもらったんです。一人じゃないって実感するし、こんなに近くに強い味方がいてくれて、心強いし本当に自分は恵まれていると思います」。
 「事業承継に関しては、すべて二人に任せた」と語る浩行さん。最終的にどちらが承継するのか、二人は真剣に向き合ったそう。
 「兄は一番厳しくて一番優しい。指摘が的確で、最後は必ず形にしてくれる頼もしい存在」「弟は人を惹きつける力があるから、対外的なことはすべて任せておけば大丈夫。頼りになるフォワードです」。
 2023年10月、代表取締役社長に就任し、東京と大分の二拠点で奮闘する弟と、専務取締役としてすべてを支える兄。「未来の子ども達のために」をテーマに、植物社会学からアプローチする被災地支援や、ゼロから作る災害に強い森づくり、植物の特性を生かした安心・安全な商品開発など、「今やるべきこと」を兄弟の力で継続・実現していく。

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「良い土」は水と空気、土のバランスが非常に大切。植物の種類に合わせて独自にブレンドした土で、強い根っこの苗を育てている。

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日出町の本社そばにある自社農場。広さ約4ヘクタールに毎年約200種、現在まで総生産では
約500種を育てている。

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第3回「アトツギ甲子園」最優秀賞受賞。「人よりも何倍も勉強して身につけたスキルをすべて開放し、全国のアトツギと森づくりを進めていきたい」と展望を語る。 

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現在、社員は11人。事業承継により若返りを図りつつも、「自然の森と同様に、豊かな生態系が大切。若い人材の経験値の浅さを熟練に補ってもらっています」。

支援ポイント:他の支援機関とも連携したシームレスな支援により円滑な事業承継を実現

事業承継に関する相談先は、当センターを始め商工会や商工会議所等の公的支援機関や金融機関など、多岐に渡ります。当社の支援は、大分県信用保証協会の支援事業を活用した業承継計画策定後、その具体化に向けて当センターを活用された事例です。事業承継を具体化するにあたっての懸念事項に対する助言や、事業の磨き上げのひとつの手段として「アトツギ甲子園」への参加を提案、決勝大会まで伴走支援させていただきました。

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