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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

日田市大山町西大山5208 tel.0973-52-3022

森食品
「安心・安全な商品を日田市大山町から届けたい」という信念のもと、原料の栽培から商品開発、加工、出荷まですべてを手がけている『森食品』。代々、家に受け継がれてきた味を自分の舌で磨き、数多くの受賞歴を誇る商品に育て上げた母は、その味と技、想いを娘に託した。
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責任感が強くなり、安心して任せられるようになりました

親/森タミ子さん

承継が意識の改革になって、やるべきことが見えてきました

子・代表/森 敬子さん

企業概要
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1990(平成2)年創業。昔ながらの製法技術と自家栽培にこだわり、数々の特産品開発を手掛けている。主力商品の梅干しは全国梅干しコンクールや各品評会で数多くの受賞歴をもつ。

承継年表

2020年9~10月 >「日田市バトンタッチワークショップ」に参加。商工会と共に「事業承継見える化シート」を作成し、自社分析を実施。2021年末を目途に承継を計画する。
2020年12月 > エリアコーディネーターが事業所を訪問。森タミ子さんと森敬子さんから事前ヒアリングを行い、事業承継の方向性や課題・問題点等を整理。
2021年8~9月 > 当センターの専門家派遣により事業承継計画書を策定。
2022年1月 > 廃業届・開業届を税務署に提出。事業承継が完了。

嫁いだ家の暮らしそのものが無添加・手作りの原点に

 「梅栗植えてハワイに行こう」のキャッチフレーズを掲げ、里山を開墾し、梅や栗の木を植えていった日田市大山町。山間部の小さな村は、九州有数の梅の産地となり、一村一品運動のモデルとして全国に知られるようになった。さらに、1990(平成2)年には大分大山町農業協同組合『木の花ガルテン』がオープン。生産者が自ら育てた野菜や自家製の漬物等を持ち込み、自ら価格設定して販売する、直売所というスタイルを全国に先駆けて確立させた。
 当初から生産者の一員として梅干しを出荷していた森タミ子さん(76歳)は、20代前半に同じ町内で代々農家の家に生まれた義行さん(76歳)と出会い、結婚。義父が育てた作物で義母が保存食や料理を作るという森家の日常の暮らしそのものが、今なお受け継がれているタミ子さんの原点になった。
 「森家に伝わってきた梅干しの味を基本に、いい塩梅の塩加減になるよう改良を重ね、私なりの梅干しに仕上げました。直売所で売るのは楽しかったし、お客さんから美味しいと言ってもらえるのが何よりも嬉しかった」と振り返る。
 『森工業』の名で左官業をしていた義行さんが60歳で廃業したのを機に『森食品』を開業。自分の舌を信じて完成させた梅干しは、全国梅干しコンクールや各種品評会等で多数の受賞歴を誇る主力商品に育て上げた。梅干しの売り上げが落ちる冬場の起爆剤として加工・販売に着手した柚子胡椒は、大分県の「ワンコインふるさと品評会」で優秀賞を受賞。溢れ出るアイデアをもとに、自身の名を冠した「たみちゃんシリーズ」の商品開発に積極的に取り組み、幅広い層をターゲットにしたドレッシングも今では看板商品となった。

承継者の自覚が芽生え、広い視野で新商品を生む

 紫蘇の苗作りから始まる梅干し製造は、6〜7月がピーク。収穫して塩漬け、天日干し、本漬けの工程を経て、2〜3カ月保存したのち出荷する。柚子胡椒も柚子と唐辛子の栽培・収穫、皮むき、撹拌等の工程があり、いずれも体力を要する作業だ。その姿を間近で見てきた敬子さん(49歳)は一念発起し、勤めていた金融機関を退職。「無添加」「手作り」にこだわる『森食品』の一員となり、作物の育て方や剪定の技術を義行さんに学ぶことから始めた。
 「一緒に働くようになって、母のバイタリティーをより感じるようになりました。母と同じようにとはいかなくても、私なりの仕事をしていきたいという思いが強くなりました」。都市部での商談会等に積極的に出展したり、コロナ禍にオンライン商談会やネット販売も開始したりと、持ち前の行動力で商圏を広げてきた敬子さん。事業承継により、消費者の求める味、売り上げにつながる商品開発を意識するようにもなった。
 承継後に自ら企画した新商品「梅干し飴」には、『森食品』のこだわりとともに、地域に貢献したいという敬子さん自身の思いを込めた。「若い人も手にとりやすいパッケージと強すぎない酸味、食感を意識しました。梅干しが苦手な人が増えて、梅干し離れも顕著だけど、梅干し飴を入口に、大山の無添加の梅干し、加工品に興味をもってもらえれば、と思っています」

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数多くの受賞歴をもつ梅干しを筆頭に、柚子胡椒、ドレッシングなどを製造。敬子さんが企画した「梅干し飴」も仲間に加わり、新たな販路を開拓している。

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天日干しした梅の本漬けに欠かせないシソも自家栽培のもの。シソ、梅、シソ、梅……と順に漬けていく。

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収穫した自家栽培の梅を塩漬けし、晴れた日に天日干しをする。重労働だが、一つひとつ丁寧に仕込むことで、こだわりの梅干しを完成させている。

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商品の製造は少しずつ機械化が進んでいるが、ラベルは1枚ずつ手で貼っている。

支援ポイント:後継者と伴走型で事業を磨き上げ、スムーズな承継につなげた

個人事業主の場合、原則2年間は消費税の免税期間が得られます。しかし、森食品さんの場合、インボイス制度が始まると初年度から課税事業者になる必要があったため、制度開始前の承継を提案しました。後継者に対して以前より販路開拓や補助金申請、経営革新計画の策定、経営セミナー参加の提案等、伴走型支援で事業の磨き上げを行ってきたため、承継は円滑に進める事ができました。

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