事業承継支援事例 (2020年度版)
当センター(旧 大分県事業承継ネットワーク事務局)が支援した事業承継(親族内、従業員承継)事例です
玖珠郡九重町町田3285 tel.0973-78-8807
ベリージュファーム(梅木樹苗園)
父は苗木の生産販売、息子はブルーベリー農園、今後はそれぞれの道へ

充分に経験を積んだ
息子夫婦だから
安心して任せられます。
親/梅木正賀さん
認知度アップをめざし
新しいことにも
挑戦していきたいです。
子/梅木健太郎さん
企業概要

ブルーベリーの摘み取り体験と、カフェで飲食ができる観光農園。園名の「ベリー」はブルーベリー、「ジュ」は屋号『梅木樹苗園』の”樹”と苗字の”木”に由来する。
承継年表
1927年 創業、2021年事業承継(予定)
▼1927年 梅木正賀氏の父が苗木業を創業
▼1964年 梅木正賀氏が家業に従事
▼1978年 父より梅木正賀氏が事業を引き継ぐ
▼2004年 ブルーベリーを植付
▼2007年 ブルーベリーの摘み取り体験のできるベリージュファームを開園
▼2010年 店舗を新築し、石窯焼きピザ、ブルーベリーを使ったスイーツの提供をスタート
▼2021年 6月 長男健太郎氏に、事業承継(予定)
家族で築いた農園はリピーターが訪れる人気スポットに
九重町が町の新たな特産物にしようと、ブルーベリー栽培に力を入れはじめたのは2001年度のこと。『ベリ―ジュファーム』も、当時から栽培に取り組んだ農園のひとつだ。
標高650メートル、豊かな緑に囲まれた緩やかな傾斜地に広がる70アールの畑では、約50種1200本のブルーベリーの木が無農薬で栽培されている。毎年6月中旬から8月末までブルーベリーの摘み取り体験ができ、4月から11月まではブルーベリーを使ったデザートや、石窯で焼くピザなどが楽しめるカフェも人気だ。
代表の梅木正賀さんは、実は昭和2年から続く『梅木樹苗園』の二代目。妻のひとみさんと息子の健太郎さん、その妻の香織さんとともに、山に人工造林を植え付けるための苗木の生産・販売をしていたが、その傍らでブルーベリー栽培もはじめるようになり、2007年に『ベリ―ジュファーム』をオープンさせた。はじめのうちはブルーベリーがうまく育たなかったり、来園客を呼び込むのに苦労したりと四苦八苦したが、今ではブルーベリーの栽培も安定。口コミで知った大分や福岡からのたくさんの来園客が、人里離れた山あいの農園までわざわざ足を運ぶようになった。
現在、2021年の6月を目処に父から息子へ『ベリージュファーム』を託すべく、事業承継の準備を進めているところだ。
来園客に喜んでもらえるアイデアを模索し続ける
正賀さんが『ベリ―ジュファーム』を息子夫婦に託そうと思いはじめたのは、2019年の秋頃だった。「農園をはじめて10年以上経ちましたし、これからは息子夫婦のやり方に任せようと。私は私で苗木の仕事に専念して、もうちょっと頑張りたいと思ったんです」と正賀さん。
息子の健太郎さんは『ベリージュファーム』のオープン以来、妻とともにさまざまなアイデアを形にしてきた。なかでも農園内にカフェをオープンさせ、ブルーベリーを使ったメニューのほか、ピザを提供するようになったのは大きな転機となった。
健太郎さんは週1回、半年間ほど大分市のイタリアンの店に通い、石窯で焼くナポリ風ピザの修行に励み、また、日田の佐官職人に制作を依頼して本格的な石窯を設置。450℃の石窯で香ばしく焼き上げるナポリ風ピザは好評を博し、ピザを目当てに通う来園客も増えていった。香織さんが作るブルーベリーのジュースやケーキも人気で、ジャムやソースなど、ブルーベリーの加工品開発にも積極的に取り組んでいる。今後、店で提供するピザと同じ味が家庭でも楽しめるよう、冷凍ピザの通販を始める予定だ。
そんな息子夫婦に正賀さんは「とにかく一人ひとりのお客様を大切に。お客さんの笑顔が一番大事」と告げる。健太郎さんは「いつか法人化できればいいなと思っています。そして県内の方に、ブルーベリーと言えば『ベリージュファーム』、九重と言えば、『ベリージュファーム』と言ってもらえるようにしたいですね」と夢を語った。
今年6月の事業承継を目前に控えた健太郎さんと香織さん。今まで以上に責任感と熱意をもって新たなアイデアを模索し、農園のさらなる魅力発信に意気込む。

カフェをクローズする12月から3月までの間に行う剪定作業は、大粒で美味しい実をつけるための大切な作業。

赤いタイル張りの石窯で焼き上げたピザは、表面がカリッとして、弾力のある生地の食感が特徴。
