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事業承継支援事例 (2020年度版)
当センター(旧 大分県事業承継ネットワーク事務局)が支援した事業承継(親族内、従業員承継)事例です

杵築市守江灘手3903-1 tel.0978-62-3838

元禄うどん(有限会社高岡産業)
愛される味を守るため一歩を踏み出した家族の絆の物語。
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前向きな気持ちで
継いでくれて嬉しいし、
頼もしく思っている。

親/岡博信さん

受け継いだものも
新たに築いていくものも
大切にしていきたい。

子/岡義朗さん

企業概要
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うどんのほかにそばやラーメン、丼ものなども揃い、幅広い客層に愛される店。大分市の「元禄うどん」は博信さんが修行した店で、宇佐市には長男が出した同名の店がある。

承継年表

▼1980年創業、2020年事業承継
▼1980年 
博信さんが「住吉浜リゾートパーク」内のテナント店として「元禄うどん」を創業
▼1988年
店舗を現在地に移転。同時に「有限会社高岡産業」に法人成り
▼2020年 
8月に博信さんから次男の義朗さんへ事業を承継した

ずっと変わらない味が愛され続ける店

 杵築市街地から国道213号を北へ進んでいくと、程なくして穏やかな守江湾を背に佇む『元禄うどん』が見えて来る。40年間守り続けるここだけの味を求めて、地元のみならず県内各地から幅広い世代の客が訪れる人気店だ。
 「独自の配合で取ったかつおと昆布のダシがうちの味の決め手。コシのある自家製麺も自慢です」と話すのは、1980年、30歳の時に店を開業した岡博信さん(70歳)。その気さくなキャラクターが皆から愛される“名物おやじ”である。実は店を開く前までは米やみかんを栽培する農業に従事していたが、農業の不況に悩み、何かほかの仕事をはじめようと一念発起して、妻の真利子さんの両親が大分市内で営むうどん屋で修業をすることにしたのだった。
 ちょうどそのころ、『住吉浜リゾートパーク』のテナントで食堂をしないか、という話を受けてはじめたのが『元禄うどん』だった。8年後、今の場所に移転し、夫婦を中心に家族とパート従業員とで店を支えてきた。
 博信さんと真利子さんの間には3人の子どもがいるが、家族間で店の後継者について話しあったことは特になかったという。やがて長男は宇佐にうどん屋を出店し、長女は学校教諭に、次男の義朗さんはウェイクボードのプロになり、3人それぞれの道に進んでいた。そんな中、2020年8月に店を承継し二代目を継いだのは、次男の義朗さん(36歳)だった。

親から子へ自然な形で実現した事業承継

 次男の義朗さんは10歳の頃からはじめたウェイクボードを続け、プロとして活躍。全国大会で優勝した経験もあり、世界大会出場も果たした。そんな義朗さんの心にはいつしか「のちのち自分が店を継がなければ」という思いが芽生えていたのだとか。そして26歳の時、英美さんと結婚。その翌年から若夫婦が本格的に店で働きはじめた。「こちらから継いでほしいと言ったことはなかったけど、次男が継ぐ気になってくれたことは本当に嬉しかったですね」と博信さんは振り返る。
 義朗さんは子どもの頃から店が忙しいときに手伝いをしていたため、仕事の大部分のことは自然と覚えていたが、それからは店を継ぐことを意識して、仕事に向き合うようになった。そして9年の月日が経った2020年、知人を通してスムーズに事業承継の手続きを進め、義朗さんが正式に二代目社長に就任した。このタイミングについて博信さんは「私も70歳という節目の年を迎えたし、息子もいい大人。ますます信用される人間になってほしいと思ったんです」と語る。
 「両親が大切にしてきた味がずっと変わらないように守りながら、新メニューの開発など新しいことにもチャレンジしてみたいですね」と少し照れくさそうに話す義朗さん。「今は賃貸店舗ですが、いつか自社所有の店舗を持ちたいです」と付け加えた時、その表情はきりりと引き締まった。
 代は替わっても初代夫婦はこれまで通り店に出ているが、店には二代目の友人知人をはじめ若い世代の客が増えてきたという。事業承継によって想いをつなぎ、いっそう強い絆で結ばれた家族。二代目が『元禄うどん』に吹かせた新しい風をともに感じ、皆でその喜びを分かち合っていた。

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「手伝えるうちは」と今も店に立ち続ける博信さんに、「店を引退したら遊びまわりよ!」と声をかける優しい義朗さん。

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店内はアットホームで落ち着いた雰囲気。現在は二代目夫婦を中心に初代夫婦とパート従業員とで店を切り盛りする。

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ふたりの子どもの父親でもある義朗さん。店を守る二代目として、家族を守る父親として想いを新たに、妻の英美さんとともに店に立つ。

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秘伝のタレで炒めた鶏肉と白ネギ入りの「味鶏うどん」は、初代が考案した人気メニュー

支援内容:承継スキームの検討と具体的な承継作業の伴走支援

前代表の博信さんが65歳を迎えるころから、次男に事業承継を考えるようになったものの、準備・手続きがわからず悩んでいた。そこで、取引金融機関である大分県信用組合杵築支店を通じ、事業引継ぎ支援センターに相談があった。ヒアリングや資料分析を基に事業承継スキームを検討。スキームに沿った具体的な作業内容の説明と、必要資料のひな型の作成・承継後の経営についてのアドバイスを実施した。

支援効果:事業承継を実施する中で自社の経営課題を再確認

事業引継ぎ支援センター、大分県信用組合杵築支店、専門家の中小企業診断士にて支援を実行。社長夫婦、後継者夫婦と計3回のヒアリングを実施した。承継上の問題点、課題を洗い出したことにより、経営課題も明確となった。2020年7月に代表者交代・株式譲渡等の承継の実務については滞りなく行われた。

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