ホーム > 事業承継事例(2021年度版)

事業承継事例(2021年度版)

当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

速見郡日出町藤原4415-3 tel.0977-72-6664

有限会社日の出園
背中を見て育ったからこそ、親の事業を受け継ぐことに「躊躇なし」。
造園業という新たな〝武器〞をもって、時代とともに変化する価値観にも負けない強い経営基盤を創り上げていく。
200811メイン人.jpg

今があるのは息子のおかげでもあり、彼の姿勢から教わることも多い。

親/吉岡親さん

代が変わることを改めて考えたことで、歴史の重みと責任を感じるようになった。

子/吉岡慎朗さん

企業概要
20081外観.jpg

創業32年の造園工事業。先代が植木の生産卸を業として創業。約15年前に後継者となる長男(現代表取締役)が入社して以降、造園工事業に進出し、順調に規模を拡大している。

承継年表

1989年創業 2021年事業承継
▼2020年10月 事業承継計画策定セミナーに後継者が参加。後日、経営指導員同席のもと当センターのコーディネーターが面談し、親族内承継に生じがちな問題点や留意点などを説明。
▼2021年4月 後継者の事業アイデアを聞き、承継計画策定の過程で今後の事業展開についても検討すべきと提案。専門家を派遣し支援。
▼2021年6月 代表者交代、持続化補助金採択、BtoC向け事業に着手。現在地に本社を移転した。

家業を継ぐつもりで、知識と経験を積んだ

 「小さい頃から父が働いている姿を見て育ちました。配送のため九州中をトラックで走り回ってほとんど家にはいなかったけど、休日は一緒に連れて行ってもらったり手伝ったりもしていて、格好いいなという気持ちもあったんでしょうね。絶対にあとを継ぐぞと思っていました」と語る吉岡慎朗さん(43歳)。
 父で先代の親さん(69歳)が始めた植木の生産卸業に、造園工事業という新たな“武器”を加えるために専門の短大で学び、造園工事を主とする県内外の会社で修行。30代を目前に控えたある時、「そろそろ一緒にやろうか」と家族会議で話し合った末、『日の出園』に入社した。
 「35歳の時に裸一貫で独立したあとは、山あり谷ありで仕事してきたけど、夫婦2人でとにかく頑張ってきました。長男があとを継いでくれることが具体的に決まり、まだ自分たちが元気なうちに思いきって任せることにしました」。親さんがこの世界に入った約50年前の日本は景気が良く、植木の業界は今の何倍も賑わっていたという。「その後、時代とともに景気は浮き沈みを繰り返し、人々の暮らしや価値観も大きく変わっていった」と、親さんは振り返る。
 入社後、徐々に個人宅の庭の維持管理や民間企業との取引、公共工事への参入など、着実に造園工事の土台を築いていった慎朗さん。日出町商工会会報に挟まれていた当センターの「事業承継計画策定セミナー」開催の告知チラシを見て、同セミナーに参加したのを機に、家族全員が事業承継に向けて動き始めた。

世代を超えて受け継がれる仕事への熱意と誇り

 後継者はどういう思いで継ぐのか。先代は何を受け継いでほしいと思っているのか。会社はどんな歩みでここまで来たのか。将来、何を目標にするのか…。承継の準備にあたり、指導員や専門家とあらゆる事柄を一つずつ確認していった慎朗さん。その中で徐々に気持ちに変化が生まれてきたという。
 「28歳の時からずっと一緒にやっているから、社長になったからといって段取りや作業は何も変わりません。でも、歴史を振り返っていくうちに会社の重みを感じるようになりました。そして、代が変わるということは、これから自分が従業員や家族を守る責任があるんだ、と強く思うようになりました」。
 2 0 2 1(令和3)年6 月、承継完了。昨今の住宅事情の影響によって業界全体の景気が低調気味にあり、後継者不足や植木の生産量減少などの不安要素がある中でも、植木の植栽率の高さを誇り、若い従業員の雇用・育成も積極的に行っている。
 「猪突猛進なタイプで、何事に対してもまっすぐ。何でも安心して任せられる息子です」は、親さんとともに家業を守り続けてきた母・由美子さん(66歳)。皆を明るく支えている妻の里美さん(42歳)も「有言実行で頼もしいかぎり」と慎朗さんへの信頼を寄せる。
 父の背中を見て育った慎朗さんがあとを継ぎ、今はその息子が同じ道を志そうとしている。日出の街並みと別府湾、高崎山を一望する高台への本社移転を果たした『日の出園』は、代々へと繋ぐスタートをきったばかりだ。

200811オーブン.jpg

ロゴマークのベースは「日出」の字。緑と赤をテーマカラーに「山から昇る太陽」と「造園を一緒に手がける仲間たち」をイメージ。

200811オーブン.jpg

民間企業や個人客の受注を増やすためにも不可欠だったミーティングスペースを本社入口に確保。壁や空間デザインに造園の技術を駆使し、ショールームとしても活用している。

200811オーブン.jpg

全体的に植木を扱う業者は減っているが、『日の出園』の植栽率は自社業務全体の3~4割(一般的には1割未満)を占めている。親さんもいまだ現場に立って後進の指導をしている。

200811オーブン.jpg

「自ら設計して造ったものが、経年の味までもを楽しんでもらえるのが醍醐味」と語る慎朗さん。個人宅の造園・維持管理の他に、公園の植樹や街路樹の手入れなどを手がける。

支援内容:事業承継計画策定支援と支援施策活用の提案

当センター主催の事業承継計画策定セミナーにて、簡易版の承継計画を作成。これをきっかけに個別相談の要望があり、代表者交代、株式移転、相続など、具体的な手続きと想定されるリスクを明らかにし、対策を促した。登記や公正証書等の準備完了後、補助金活用も含めて再度支援の依頼があり、これに対応。専門家を派遣して承継計画策定を支援。様々な角度から承継後の展開、新規事業の可能性を検討し、後継者の漠然とした将来への不安解消を図った。

支援効果:承継後の新たな取り組みを支える基盤づくりを実施

以前はBtoBの受注が柱であったが、個人客からの直接受注にも力を入れたいとの意向を踏まえ事業承継補助金の活用を検討。商工会の専門家派遣で申請書のブラッシュアップも実施された。持続化補助金に採択され、商談スペースを新設、集客用のHP開設、看板設置などの情報発信と、新たな取り組みへの挑戦も始めている。