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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

由布市挾間町谷676 tel.097-583-4115

田中建装(田中木工)
日本政策金融公庫と商工会連合会の連携開始後、第一号締結となる第三者承継。後継者予定の息子を病気で亡くし、承継が白紙となった『田中建装』と、独立を目指して日本政策金融公庫に登録した30代の若者が出会うべくして出会い、短期間で承継を実現。新屋号『田中木工』が誕生した。
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「この人なら間違いない」と第一印象で確信しました

被承継者/田中建次さん

「一生、家具職人でいる」という決意の第一歩です

承継者/田中大地さん

企業概要
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店舗・事務所用木工装備品製造業『田中建装』田中建次さんと、北九州市の木製家具製作会社勤務を経て独立を考えていた田中大地さんが面談し、短期間での事業承継を実現。2023 年7月、大地さん代表の『田中木工』が創業した。

承継年表

2020年10月 > 田中建次さんは、事業承継個別相談会に参加され、センター登録。マッチング先探しを始めた。
2021年6月 > 後継者人材バンクに登録していた候補者と契約寸前で破談となり、新たな相手先探しを継続したが進展なし。
2023年4月 > 日本政策金融公庫より田中大地さんを紹介され、両氏と面談。承継スキームの構築、事業譲渡契約書案の作成支援等実施。
2023年5月 > 事業譲渡契約書締結し、事業承継完了。

突如、後継者不在となり、第三者承継を決意した

 被承継者の田中建次さん(78歳)は、高校で産業デザインを学び、大阪の百貨店に入社。ディスプレイを担当するうちに、もともと好きだった「ものづくり」への思いが沸き、修行のため退社した。「百貨店では図面だけ書いて外注先に作ってもらっていましたが、製作の過程を知りたいと思うようになったんです。家具の製作から切り文字、レタリングなど、何でも身につけて、本当に楽しかった」。
 36歳で生まれ育った挾間町に戻り、『田中建装』を創業。以前は農協の米蔵だった倉庫を改装し、趣のある工場を完成させた。
 その後、神奈川で修行をしていた長男も帰郷。事務所や店舗用の家具を受注し、製造・設置までを親子二人三脚で行い、将来は息子が事業を引き継ぐという道筋を誰もが疑いもしなかった。
 「商工会に引き継ぎの書類を作ってもらい、承継の準備がほぼ整っていた2019年の秋、息子が病に倒れたんです。医者からは、日本では難病指定で治療法もない、と言われました」。
 建次さんが75歳の時だった。
 突如、長男への引き継ぎが叶わなくなり、第三者承継を決意した建次さんは、商工会の紹介でセンター主催の事業承継相談会に参加。センターへの支援依頼を行い、「木工製造の経験者で工場を継続使用してくれる第三者の方」を条件に候補者探しを開始した。
 「これから何年もかけて指導する余地は年齢的にない。技術が必要な仕事だから、経験者に承継してもらうことを希望しました」。
 後継者人材バンクに登録していた候補者と話を進めたみたものの、契約寸前で破談。それからしばらくは、候補者が見つからないまま時間だけが過ぎていった。

巡り合わせが叶えた約2カ月のスピード承継

 ようやく目の前に現れた候補者は、杵築市出身の田中大地さん(32歳)。テレビで見た家具職人の格好良さに影響を受けて短大を中退、職業訓練校の木工家具科で知識と技術を学んだのち北九州市のオーダーメイド木製家具製作会社に就職したという経歴の持ち主だ。
 10年以上の勤務を経て、独立を考えた大地さんは日本政策金融公庫事業承継マッチング支援に登録。木工所の情報を検索していた時に『田中建装』を見つけ、公庫を通して建次さんとの面談にこぎつけた。
 「初めて会った時、信用が一番大事だと言われたのを今でも覚えています。それを守り、ここまで続けて来られたんだな、と。言葉の重みを感じました」。
 第一印象で感じた建次さんの人柄と信念、機械を含む工場そのものから取引先、関連業者に至るまで、すべてを引き継げるという好条件も背中を押し、初面談から約2カ月という短期間で『田中建装』から新屋号『田中木工』田中大地さんへの事業承継が完了した。
 「作った家具を設置した時にお客さんが満足してくれることが技術者の喜び。それを常に忘れないでほしい」と言いつつ、「彼はすでにできているけどね」と笑う建次さん。短期間での承継だが、順調に受注を増やしている大地さんは、「家具職人として始まったばかり。一生涯の仕事にするために、何でも経験しながら挑戦し続けたいと思っています」と意欲を燃やす。

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「手入れをすれば一生もの。きっと彼も大事に使ってくれるだろう」と語る建次さん。大切に使い続けてきた機械と道具、設備等もすべて譲り受けた大地さんは、自らの手で未来を紡いでいく。

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型の木材切断機をはじめ、家具製造に必要なものが揃っている工場。県内の取引先はもちろん、以前の会社からの紹介で受注する仕事も多く、滑り出しは順調だ。

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家具職人として、経営者として、大きな一歩を踏み出した大地さん。いずれはオリジナル家具の製造も描きつつ、「目の前の一つひとつに丁寧に向き合っていく」と語る。

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図面を引き、製造し、事務仕事に接客と、新米経営者の仕事は多岐に渡る。いずれは事務所を改装し、商談や製作物の撮影・展示などができるスペースを作る予定。

日本政策金融公庫との連携で承継実現契約書の作成支援等を実施

田中建次さんより、「木工製造の経験者で工場を継続使用してくれる第三者を探したい」旨、支援依頼あり。日本政策金融公庫より紹介された田中大地さんとの面談に同席し、承継の意思確認を行ったうえ事業承継の実務的な作業支援を実施。動産類鑑定評価を基に譲渡条件やスキームの確認、調整を行ったのち、弁護士による「事業譲渡契約書」のリーガルチェックを行い、契約締結に至りました。

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