コロナでダメージを受けた旅館業。当センターには後継者の有無にかかわらず、様々な支援プログラムがあります。積極的な利用で、温泉文化を次世代に繋げてほしいと願っています。
大分県には、14市3町1村を合わせて18市町村がありますが、このうち16市町村において温泉が湧き出ています。湧出量も全国の約1割を占めており、源泉数、湧出量ともに全国第1位です(参考:大分県ホームページ)。 当然、温泉旅館の数も多く、規模も様々。個人で営む旅館も多いのですが、個人で取得した旅館業の営業許可は、売買や贈与等で第三者の個人や法人に承継することができません。個人が営業するホテルや旅館を引き継ぐ場合には、現在の許可について廃業届を提出し、改めて後継者が新規で旅館業の許可申請を行うことになります(※相続による承継を除く)。親族での承継が想定される場合、特に不便がなければ、このままで、と事業主が高齢化していくケースも見受けられます。
(注) 令和5年12月13日から手続きが簡素化されてます。
コロナ禍により旅館業界は大きなダメージを受け、将来に期待を抱きにくい状況が続いています。地元金融機関の担当者と共に、県内の温泉旅館街で対象となる多くの旅館を訪問しました。
「特に不便がないから代表はお父さん(お母さん)のままで」と体制を継続してきた旅館の中には、長引くコロナ禍で頼りにしていた後継者が離れていくケースも複数ありました。
また、逆に「将来性を考えたときにこのまま自分の息子や娘に継がせてよいのか」と自問自答する経営者も多く、事業承継適齢期を迎えながら、様々な問題から承継に踏み切れない方々の生の声を聞きました。
実際、承継について具体的な話ができている経営者は、半分にも満たない様子です。いざとなると承継については話しにくい、と考える親族や従業員への承継については、専門家との事業承継計画策定のプログラムが有効です。
第三者である専門家が事業承継を目的にヒアリングすることで、お互いの考えを知ることができたと利用者に好評です。
また、当センターには後継者人材バンクがあり、170名以上の登録者が県内での事業引継ぎを望んでおられます。後継者不在のケースでも、その旅館を継ぎたい方がおられるかもしれません。
ぜひ、事業をどうするか決めてしまう前に、一度センターに相談して頂きたいと思います。
一方で、しんどい状況下だからこそ、新たな取り組みにチャレンジしたいと考える若い後継者世代も少なくありません。大分県では、後継者塾やアトツギ新事業創出プログラム“GUSH”など、後継者の挑戦を支援する独自のプログラムがあり、当センターでもこれらを積極的にご紹介しています。旅館業を担う後継者にも、ぜひご参加頂きたいプログラムです。これらの取り組みを通じて、「日本一のおんせん県おおいた」をけん引する人材が輩出され、明るい将来を築いてくれることに期待し、応援していきたいと考えています。
今回は2日間で十数件の旅館を訪問し、事業承継のご相談に応じました。同様に、巡回や同行訪問を希望される県内の支援機関・金融機関・業界団体などのご担当者様がおられましたら、どうぞお気軽にお声がけ下さい。ご相談・お問合せなど、心よりお待ち致しております。
※写真はイメージです(AC Photoより)
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